相続財産と財産分与
離婚するときに財産を分けることを「財産分与」といいます。相続のときにするのは「遺産分割」です。
遺産分割協議と財産分与の協議とは別のものですが、相談のときに用語が間違っていることがあります。「妻が死亡して、相続手続きをするのだが、息子との財産分与について質問がある。」といわれることもよくあります。
法律の勉強をするためにいらしているわけではないので構わないのですが、こちらでは誤解をしないように気をつけています。
財産分与では、預金通帳の名義人が夫婦のどちらのものであっても、実質的に「共同して築いた財産」と認められれば、分配することになります。
相続財産
婚姻中に、配偶者の一方の親などが亡くなり、その人の財産を得た(遺産相続した)場合、相続財産は、夫婦の共同婚姻生活の間に、夫婦が共同して築いた財産ではなく「婚姻中であっても夫婦の協力とは無関係に取得した財産」ですから、財産分与の財産に含めません。相続した人の単独の財産です。
理屈の上では、このようにはっきり区別できるのですが、実際にはその遺産を車の購入に充てたとか、子供の留学費用に使ったとか、さまざまな使い方をされていると、財産分与のときには、その費用の額が明確にわからないということがあります。夫婦が共同して築いた財産と、夫婦の協力とは無関係に取得した財産を区別して、財産分与の額をはっきりとさせるのは、時間が経過すると次第に難しくなるようです。
ではどうするのかですが、離婚も相続も「誤差はある」と思っていたほうがよいと思います。財産の総額によって、またその家族によって誤差の程度が異なるでしょう。
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