記録に残す
内容証明郵便の使い方はいろいろあります。遺産分割協議などで、協議し始めから終了まで時間のかかるような場合ですと、はじめに言ったことを忘れたりします。ある条件を前提として、次の段階へ進む場合には、その前提条件をはっきり認識しておかなければ先に進めません。
お店で買い物をするなら「売る人」「買う人」の立場は明確で、やりとりも複雑ではありませんが、遺産分割協議では、相続人がお互いに要求したり譲歩したりを繰り返しますので、現在の状態がわかりにくくなります。話し合いの途中で、
「現状維持は譲れない。」
と言われたので、
「現状とは、どういう状態か?」
と聞くと、
「自分で考えなさい。」とか「法律のとおり。」
と言われて、返答に困ったという話もあります。この場合、どちらかが記憶違いをしていたら、その先の議論は無駄です。
内容証明と押印
遺産分割協議が整うまでに、協議の経緯がわかるよう書面で記録することは大切です。特に大切な部分は公的な「内容証明郵便」を使う必要があるかもしれません。書面にして相手に渡しても、後日、そのようなものは読んでいない、とか、あの書面は内容が間違っていた、といわれると、結局、役に立ちません。そういう場合に役に立つのが内容証明郵便です。絶対的なものではありませんが、けっこう役に立ちます。
内容証明郵便を送るときに、書面に捺印しなければならないのかという質問がありますが、結論からいうと、「なくても構わない。」ということになります。
普通の感覚ですと、送付人の住所・氏名・捺印が必ず必要な気がするでしょう。
しかし、送付した人の印(ハンコ)はあってもなくても構いません。
(ついでながら、日付も書かなくて構いません。郵便認証司が日付の付いたハンコを押すので、いつ発送したかは明らかだからです。)
ただし、内容証明の紙面が2枚以上になる場合、「契印」(「割印」と呼んでいる人もいるようです)が必要です。ホチキス留めで作成したなら、前ページの裏と次頁の表にかけてハンコを押します。
また、訂正する場合も、訂正箇所に押印が必要です。(手書きでなくパソコンで作成しているでしょうから、訂正するよりも書き直したほうが簡単ですし、見栄えが良いです。)
「捺印のない内容証明郵便が届いたから、この内容証明は無効ではないか?」というご質問もあるくらいですから、どうせなら捺印しておいたほうが何かとスムーズです。
本当に自分で発送しているなら、捺印したかしなかったかは重要な問題ではないはずですが、受け取った人の印象を考えると「内容証明郵便に印鑑(押印)は必ず必要」と思っていたほうがよいと思います。
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