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死亡退職金と生命保険金
死亡退職金と生命保険金は、遺産分割協議でよく話題になります。
死亡退職金の支給規程があり、民法の相続の仕方とは大きく異なるかもしれません。支給規程をご覧ください。死亡退職金は、受取人の財産とされて、被相続人の財産として遺産分割協議の対象とはならないことが多いようです。
死亡退職金は遺族の生活保障のためにあります。亡くなった人の収入に頼っていた遺族をたすけるのが目的ですから、民法の相続や遺産分割とは分けてお考えください。
離婚時の財産分与と同様に、相続時の遺産分割協議でも、細部まで全員が納得するように分けるというのはかなり大変です。5円・1円単位まで正確に分けられませんので、ある程度の誤差は避けられません。
生命保険金は複雑
死亡退職金や生命保険金はかなり大きな額のことが多いので、誤差で済まされないことがあります。そうすると、退職金の支給規定・生命保険金の支給規定をきちんと確認してください。
死亡退職金については多くの人が納得なさると思いますが、生命保険金の場合、規定のとおりに扱えば全員が納得できるのかというと、実際はそうでもなさそうです。
特に、生命保険金の場合、保険料を払っていた人は、
- 支給されたら誰々が受け取るだろう
- 支給されたら、相続人全員で分けるだろう
と思っていても、支給規定によって特定の人だけのものになることがあります。
たとえば、
- 長男だけが全額受け取ることになっている。
- けれども、兄弟姉妹3人で等しく分けた。
- 税金は支払うべき人だけが支払った形式にしたけれども、実際は他の遺産の受取額と総合的に計算して調節した。
- 結果的に、全員が同じ額を受け取るようにした。
というような例もあります。それが故人(被相続人)の気持ちだと思ったからです。
逆に、受取人だけが全部ひとりで受け取って、他の相続人には一切渡さないという例もあります。法的には問題ありません。
あるいは、親が受取人を長男だけにしていた保険を、親が死亡する前に、長女が親を説得して解約し、解約金を自分がもらったというような例もあります。
遺言書で保険金・給付金などについて記載する際は、内容をしっかり確認しましょう。かなり面倒かもしれませんので、遺言書作成の際に契約書類を揃えて専門家にご相談ください。とはいえ、遺言書はご本人の意向が大切ですので、そういうことをきんと判断できるうちに遺言書を作成なさるとよいと思います。