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遺言書の作成
遺言書を作成したいという相談を受けると、事情をうかがって、遺言書の起案をします。「そういう事情で、このような内容の遺言書にしたいということなら、この文面でどうでしょうか」と提示します。
それから公証役場で、公正証書遺言(遺言公正証書)として作成してもらえば、相続人などの関係者が、変造したり(内容を一部書き換えるなど)、廃棄したり(自分に都合の悪い遺言書を捨てたり隠したり)する心配はなくなるといってよいでしょう。
遺言書を破棄? 紛失?
遺言書で相続分を指定すると、法定相続分に優先しますから、自筆の遺言書を見つけた相続人が、自分に都合の悪い遺言書であれば捨ててしまうことがあります。
この行為が明らかになれば、相続欠格事由に該当して、相続人なのに相続できなくなります。
遺言書を廃棄したことが誰にも気づかれず、他の相続人が遺言書の存在を知らないのであれば、遺産分割協議となってしまいます。
法定相続分を参考にしながら、被相続人(亡くなった人。遺言書の作成者)の遺言書を無視して協議をしてしまうでしょう。
たいていは公正証書遺言を
公正証書遺言は通常3部作成され、1部は公証役場で保管し、全国どこの公証役場からでも遺言書があるかどうか、あるならどこにあって、どのような内容かが明らかになります。
自筆遺言ですと、形式が違っているから無効だということもありえますし、訂正の仕方を間違えたから自分の希望どおりの遺言にならないということもあるかもしれませんが、公正証書遺言ならその心配もないでしょう。
その点、とても安心なのですが、作成のためにいろいろな書類と証人が必要であり、それなりに費用もかかります。
遺言書を作成したことを相続人に知られたくない場合には、少々不安がありますが、いくつか気をつければ、誰にも知られずに作成できると思います。
公正証書遺言を作成すれば、相続開始後にトラブルが起こる心配がないとは言い切れませんが、自筆証書遺言と違って、偽造・変造・廃棄される心配がないという点で優れていますから、通常は公正証書遺言をお勧めしています。