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離婚するなら
一般的に、離婚はしないで済むならしない方がよいはずです。しかし、さまざまな事情、細かい過去の積み重ね、性格の変化、仕事等のストレス、DV、などによって、「一緒にいるだけで不幸」な事例もたくさんあります。嫌な人と一緒にいると自分の顔つきまで変わってきます。それなら・・・と決断するのはよいことかもしれません。お互いに「離婚したほうがよい。」と決まったらご連絡ください。離婚協議書の準備をしましょう。
婚姻は役所への届出と婚姻の意思があれば成立します。離婚は役所への届け出だけで有効です。合意があれば簡単にできます。しかし、財産分与や子供の養育費や面会など、さまざまな問題の生じる可能性は大いにあります。離婚の合意ができたからと油断せず、しこりを残したり、蒸し返したりということのないようにしっかりと手続をしてください。
公正証書にすれば大丈夫か
離婚協議書を公正証書で作成して、「強制執行認諾文言(強制執行認諾約款・強制執行認諾条項)」を入れておけば、裁判を提起することなく強制執行ができるので安心だと思っておられる方がいますが、そう簡単ではありません。
離婚して、互いに別の道を歩み、互いに相手の幸せを願っているのであればよいのですが、なかなか理想的にはいきません。
別の人生を歩み始め、それぞれがそれぞれの困難に遭遇するようになると、離婚協議書で決めたとおりにスムーズに進まなくなることも十分考えられます。
そのときに、「強制執行認諾文言のある協議書を持っているから安心」とは言いきれません。
将来の相続に備えて
特に未成年のお子さんがいる場合の離婚には、離婚届だけでなく、遺言書も作成しておくとよいと思います。離婚して夫婦は他人となっても、子にとっての親は変わりません。親の相続などでは子供が関与することになるでしょう。前婚の子と後婚の子にどのように財産を残すのかも重要な問題です。前婚の子とは、前に婚姻関係にあった人(前妻・前夫)との子です。事情の変化によって、遺言書の内容もその都度書き変える必要があるかもしれません。
連れ子は相続人となるか
たとえば、
AさんとBさんが結婚しました。
Bには子(C)がいますがAとの子ではありません。
Aが亡くなったとき、CはAの財産を相続するでしょうか。
手続を何もしなければ、CがAを相続することはありません。AとCは法律上、他人です。AがCに財産を遺したいなら、
- AがCを養子にしておく
- AがCに財産をあげるという遺言書を書く
ということが必要です。
財産分与は
財産分与は財産を公平に分ければよいので、どのように分けるかは大体常識的にわかると思いますが、いくつか注意点を書いておきます。
- 財産分与ということで金額が決まっても、それに 婚姻生活上の清算、扶養、慰謝料、過去の婚姻費用の清算が含まれているかどうかを明確にしておきましょう。(内訳や明細が必要ということではありません。)
- 夫が婚姻中に、医師、弁護士、など高度な資格を得る受験勉強などした場合には、妻が大きく協力していると考えられますので財産分与の額に算入できるのが普通です。
- 商店や農業、漁業などで夫の両親と一緒に働いていた場合、夫の父親の名義になっている財産も、財産分与の対象となることがあります。
- 退職金は妻も協力して夫の勤務を支えたと考えられますので、財産分与の対象となりえます。
- 婚姻前に同棲していた期間も婚姻期間として計算するのが普通です。
- 現金で支払う場合には課税されませんが、現金以外の物で分与する場合には、一般の譲渡所得税がかかるのが原則です。
- 離婚が成立した日から2年以内に請求する必要があります。
- 離婚協議の時に「(この清算、この合意で)債権債務が一切ないことを相互に確認する」「今後いかなる名目でも、一切の請求をしない」という文書を交わしても、思い違いがあった場合など、改めて請求できる場合があります。
離婚協議書・遺言書
離婚しても離婚協議書の作成をなさらない方もおられるようです。後に何事も起こらなければよいのですが、トラブルになることもありますので、離婚協議書を作成し、その中に一般的に言う合意書、あるいは何か事情のある場合は【示談書】の作成も必要かもしれません。「絶対に安心」ということはありえないにしても、公正証書にしておくとさらに安心です。
離婚の際に問題になる一般的なこと(まとめ)
- 財産分与
- 慰謝料
- 子供の養育費
- 子供の親権・監護権
- 子供の面接交渉権
- 子供の氏
さらに
もしておくと、相続人やその他の身近な人たちも安心でしょう。
養育費
養育費の決め方ですが、夫婦でこれまでいくらの収入があったのかわかっているのであれば、およその見当はつくようです。
できるだけ当事者の話し合いで決めてください。
当事者で決められなければ、第三者(最終的には裁判所)となります。裁判所で参考にしている養育費算定表もあります。
裁判所で使っている表だからこれでいいのかというと、そう簡単ではありません。それぞれの夫婦の事情があるでしょうから、当事者の協議で決めるのが理想でしょう。
離婚相談は誰にするか
常識的な話をするのでしたら、近所の「ご隠居さん」でもいいですし、常識や人望のある方なら誰に相談してもいいでしょう。常識的な答えが返ってくると思います。
しかし、世の中には法律に助けられる人も、法律があるために苦しむ人もいるのです。「そんな法律だとは知らなかった」というケースが結構あります。
「時効制度」もそのひとつです。「権利の上に眠る者を保護せず」という原則によって、法の定めるとおり自分の権利を主張しなかった場合、泣き寝入りせざるを得ないこともよくあります。法律に泣かされないように、法律をチェックする必要があります。
弁護士は、法律に関することはすべてやってよい「スーパースター」です。が、実際は専門分野を限っている人も多いようです。また、スーパースターですから、それなりの料金をご用意した方がいいでしょう。
司法書士はもともと不動産など法務局での登記等を主としていました。そこから派生して数え切れないくらいの業務をしています。
行政書士は役所に提出書類を、本人に代わって書いていたのがはじまりですから、本人が何を望んでいるのかをじっくり聞くのが行政書士のもともとの業務スタイルだと思います。
私は風邪をひくと耳鼻咽喉科にいきますが、内科に行く人も多いようです。自分が「何科」にかかった方がいいのか、同じ科でもどの医者が自分には合っているのかは、ご相談ください。
離婚の慰謝料を渡さなければならないか
離婚をすると「慰謝料を支払わなければならないのか」、また「必ず慰謝料がもらえるのか」ということもよく質問されます。
慰謝料とは損害賠償です。民法上は、故意や過失で、他人の身体・自由・名誉・財産等に損害を与えた場合の償いです。特に精神的な損害を受けた場合にはどうやって償ってもらうのかということになりますが、法律上は「金銭」で決着を付けるしかありません。お金で済む問題ではないという人も多いのですが、法律上はそれしか方法がないことがよくあります。
また、損害を受けた後、治療・療養を十分にできるようにし、精神的に立ち直るためにはお金も必要でしょう。そうすると、やはり「お金の問題」も重要です。
相手に損害を与えていないなら慰謝料は発生しません。
慰謝料の算定
特に基準はありませんが、統計的な数字はあります。この統計を見て「自分は○○円請求したい」とおっしゃる方が多いのですが、統計とか平均値はあくまでも目安であって、その額が妥当かどうかはわかりません。
過去の不法行為(相手に与えた損害)の性質にもよりますし、現在の状態、今後のこと、これらを総合して判断しないと後でかえって苦しむかもしれません。
当事者の話し合いで決めるのがもっとも望ましいと思います。しかし、自分たちで決めた内容でも、時間が経つにつれて実行しなくなったり、あいまいになったりします。そのようなことを極力防止できるように書面化するのは行政書士の業務ですので、ご相談ください。慰謝料請求ご参照ください。
「よしっ、裁判だ!」とおっしゃる方も多いのですが、裁判官の判決(金額)を聞いて十分納得できたという例は少ないと思います。慰謝料の額と裁判費用を考えると、裁判をあきらめて行政書士等のところへ来る方が多いです。そもそも調停あるいは審判を経ないでいきなり正式な裁判はできません。裁判にまでなると弁護士を付けると思いますが、裁判になる例はあまり多くはないでしょう。
慰謝料を決めるときのポイントは?
ケースによるので、現実の事例にあわせて考えるとされています。
- 離婚原因
- どのような結果にしたいのか
- 資産状況
- 今後の収入見込み
- 年齢・社会的地位等
ではないでしょうか。離婚したほうがよいか、しない方がよいかのご相談はお受けできませんが、離婚協議書を作成するに当たっての相談だけでもお受けします。
離婚原因がある者は、財産分与を受けられないか
財産分与は、夫婦で築いてきた財産を清算するものですから、不法行為とは別の問題です。多くの場合、慰謝料と密接に関係してくるでしょう。
慰謝料と財産分与の区別がわからないまま財産を分けてしまったがどうしたらいいか、という相談もあります。
勝手に離婚届けを出された
自分では離婚届に署名も押印もしていないのに、相手に勝手に離婚届を提出されたというのは意外とよくあるケースです。協議離婚をするには、お互いに離婚するという気持ちがあり、離婚届を提出するという手続が必要です。
しかし、現実には役所で受理されてしまうと、離婚取り消しは裁判所へ行かなければなりません。その結果、元のように夫婦に戻るということは少ないでしょう。そもそも、一方が勝手に偽の署名をして提出するくらいですから、夫婦関係に問題があったのでしょう。
離婚を取り消すよりも、今後のお互いの人生を考えて、慰謝料・財産分与等を考えた方がよいと思われるケースがあります。
ただし、役所の戸籍担当のところで、離婚届を受理しないようにという申し出をしておく(不受理届を提出しておく)ことはできます。
離婚届は受理されないことがあるか
ほとんど受理されるでしょう。夫婦そろって離婚を希望している場合、わが国は世界中で最も離婚が容易な国のひとつのようです。
しかし、子供がある場合に親権者を記していないと受理されないはずです。
離婚後、名字を戻したくない
離婚すると必ず元の姓(氏・名字)に変わります(復氏といいます)が、離婚の日から3か月以内に届け出るだけで、何の審査もなく婚姻時の姓を称することができます。
仕事の都合で婚姻時の姓のままがよいということもありますし、自分の子と姓が異なっては嫌だということもあるようです。
別居中の生活費は分担するのか
離婚協議の最中に、すでに別居なさっている方もおられます。夫婦は家族で共同生活をする上での生活費を分担する義務があります。もちろん分担というのはそれぞれが2分の1ずつ出すということではありません。一方が働きに出ていて、一方が家庭を守るということもありますから、要するに助けあいましょうということです。
婚姻関係が破綻して別居している場合はどうなのかということでしたら、明確にはお答えできませんが、婚姻が破綻し、別居していても、まだ夫婦なので、協力扶助の義務はあるという判例があります。夫婦の一方の連れ子の養育費も「生活費」に含まれると考えられます。ただ、裁判でもしてみないと最終的な結論は出せません。しかし、その前に話し合いで決める方が現実的です。
親権者が決まらない
子がいて離婚する場合、親権者を決めなければなりません。親権者は戸籍にも記載されます。
親権には、身上監護権と財産管理権があります。どう違うかを大雑把にいうと、
- 身上監護は日常生活の世話をして、子をきちんと育てることであり、
- 財産管理は未成年の子の法定代理です。
親権という場合、両方を含むのが一般的ですが、場合によっては監護者を別にすることがあります。身上監護をする人は、親権を持つ親ではないもうひとりの親のこともあるし、第三者のこともあります。とにかく、経済力などはあまり考慮せずに、子の成長に最適な環境を考えます。
監護者は裁判所の許可なしに決められますし、離婚時に決めておく必要もありません。届け出る必要もありません。
身上監護権と財産管理権を別に定めることで、話が円滑に進むことがあるという説もあります。
しかし、裁判離婚の場合には、親権者と監護者を別々に定めることには積極的でないと聞いています。
川崎市中原区の行政書士
川崎市中原区に本拠を置いていますので、
- 幸区・ 高津区・宮前区・麻生区・多摩区・川崎区
- 横浜市港北区、東京都大田区・世田谷区・目黒区・渋谷区・新宿区
- 東急東横線・JR南武線ご利用の方
からの相談が多いのですが、JR南武線・東急東横線が交差する「武蔵小杉駅」は直通乗り入れが増えましたのから、
- 横須賀線・湘南新宿ライン
- 目黒線(埼玉高速鉄道線・都営地下鉄三田線)
- みなとみらい線
からもご利用が便利になりました。「元住吉」は武蔵小杉の隣の駅です。
業務は全国対応していますので、必ず面談しなければならないということはありませんが、たいていの場合は面談した方がメリットがあります。本人確認が容易なこと、またご相談内容(何をどうしたいのかという心情)がわかりやすいと思います。協議書・示談書・内容証明などを作成するとき、事実関係に加えて、ご本人の心情がわかるとよい書面ができるような気がします。