不思議な話
遺言・相続をめぐって兄弟姉妹、親子で争いになるということはあります。
不思議な話を耳にしましたので、本人の了解を得て、以下、改変して書き込みます。
私はこの種の話はめったに信用しないのですが、このときは考え込んでしまいました。
父親(A氏)が死亡して相続が開始しました。
相続人は、妻と子供(BとC)です。みんな別々に住んでいます。
法律上は妻が2分の1の財産を相続し、BとCが残りの半分を等分に分けるのが法律どおりの分け方です。
(もっとも事情により、話し合って自由に分けて構いません。)
しかし、BもCも父の財産をみんなで分けようと母親に言い出せませんでした。
ですから、詳細は省略しますが、母がA氏の財産をすべて持っていました。
詳しい事情は言えませんが、母親は「Cに全財産をあげるから私の世話をしにちょくちょくおいで」と約束をさせて、不動産や株がほとんど全部Cのものになるように工夫しました。
そんなことをちっとも知らないBはたまたま商用で商業登記簿をもらいに法務局へ行きました。
不動産も商業登記簿も法務局で申請し受け取っていましたから、どちらの用事の人も法務局にいたのでした。
Bさんは商業登記簿を受け取って、用事が済んだので帰ろうとしました。
すると、ちょうど出口の扉を開けたとき、窓口で「XX C男さーん」と呼ぶ声が聞こえました。
実はCさんの名字は非常に珍しい名前なので、同じ町に同じ名前の人がいる思えません。
Bさんは、あたりをキョロキョロと見回しましたが、それらしい人はいません。
司法書士や弁護士が代理で来ているかもしれませんが、XXさんの代理で来ているというような様子の人はいませんでした。
そもそも時間のせいか、人が少なかったので一目で周囲を見渡せるのでした。
なんとなく胸騒ぎがして、A氏名義の不動産登記簿を請求してみました。
すると、もし母親が死亡したら、全部Cに相続させるという登記がされていたのでした。
生存中にC名義に換えると贈与税等が発生するでしょう。
しかし、死亡したら相続させるという手続きで、ほとんど税金はかからないようになっていました。
もっとも、法的にBさんはある程度、取り戻せるのですが手間がかかります。
Bさんはその後、私に「あのときの『XX C男さーん』という声は、窓口の係の人の声ではなく、父の天からの声だったのだと思う」というのでした。
A氏があとでBだけ損をすることにないよう、天から見守ってくれたのだというのです。
私も「まさか」とは思います。しかし、そうとでも考えないと理解できないほどうまくできた話なのです。
私としては、ゾッとする話のようでもありますし、心温まる話のようでもあります。今でも謎です。
ちなみに、Bさんは宗教好きでも占い好きでも何でもない人です。