「父を相続する」という意味はよろしいでしょうか。
父親が亡くなって、相続が開始し、子が相続するということです。
ですから、相続をする人が相続人です。相続される人が被相続人です。
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婚外子の相続分を少なくしたわけ
わが国は法律婚を採用しているため、嫡出子と婚外子(非嫡出子・婚姻外の子)との相続分を異にしていましたが、平成25年の最高裁決定によって等分としました。
「父と母が婚姻していたかどうかで子の相続分が異なるのは不当である、子に罪はないのだから。」という意見が多く聞かれましたが、これは法律婚を尊重するために、「婚姻しないと子に不利益が生じるので、きちんと婚姻すべき。」という親に対する戒めであったようです。
しかし、事実婚(あるいは内縁関係)が多くなってきたこともあり、親を戒めるつもりが、子にとって酷な結果なってしまうので改められたものと聞いています。
父を相続できない(かもしれない)
嫡出子と婚姻外の子(婚外子・非嫡出子)との相続分が同じになったからといって、婚姻に関係なく、父の子であれば(生物学上の父子関係があれば)法定相続分を主張できると勘違いしている方はおられないでしょうか。
念のため申し上げますと、母と子の法的関係は分娩という事実によって認められ、母を相続することはできますが、父子関係は DNA 鑑定によって親子関係が推認されるとしても、父を相続するには法的な関係が必要ですので認知が必要です。
認知でなくても、訴訟による強制認知もありうるでしょう。また、養子とすることでも実子と同様に相続できますが、この場合、代襲相続にご注意ください。