遺言でなければできないことも
遺言書には、何を書いてもかまいませんが、法律上、遺言の内容として法的効力が認められる事項は決められています。そうすると、遺言書は窮屈なものだと感じるかもしれませんが、遺言しておきたいこと・相続人に指示しておきたいことはたいてい網羅していると思います。
また、遺言によらなければならないものと、生前であってもできるものがあります。
以下、法定遺言事項の主なものを書きます。条文は、断わりがない場合は民法です。生前でもできるものには「※」の印を付けてあります。
- 相続分の指定・指定の委託(902条)
- 遺産分割の方法の指定・指定の委託(908条)
- 遺産分割の禁止(908条)
- 相続人相互間の担保責任の指定(914条)
- 遺贈の減殺割合の指定(1034条)
- ※相続人の廃除・廃除の取消し(893・894条)
- ※特別受益の持戻し免除(903条)
- ※遺贈(964条)
- ※信託の設定(信託法2条)
- 未成年後見人・未成年後見監督人の指定(893・848条)
- ※遺言による認知(781条2項)
- 遺言執行者の指定・指定の委託(1006条)
- ※祭祀主催者・承継者の指定(897条)
- ※遺言の取消し
- ※生命保険受取人の指定・変更(保険法 平成22年4月1日から施行)
以上、意味のわからないものはネット等で調べられると思いますが、ご不明の点はご相談ください。
また、法的効力とは関係ありませんが、遺言の付言事項として、なぜこの遺言書を書くのか、なぜこういう内容なのかという「相続人へのメッセージ」を付記することを強くお勧めします。遺産分割協議のときに、相続人たちが遺言書の内容に納得できるようにするためです。