思いもよらないことが
相続にかぎらず、思いもよらないことが起きます。
悪い結果に向かわないようにすること、そして、トラブルを防止することが大切です。
ここでは外国人との結婚に関連する問題を書きましたが、結婚に限らず、また外国人にかぎらず、いろいろなことが起きます。
その点をご承知いただいたうえで、以下、お読みください。
結婚と相続
黒川博行さんという人の書いた「後妻業」という本(2014年刊)があるそうです。
この本は、女性が資産家の老人の妻(後妻)となり、財産を相続するという話ですが、夫を殺す(早死にさせる)という点が犯罪です。
この小説には、「爺(じじい)を騙(だま)すのは功徳や。たとえ一月でも二月でも夢を見られるんやから」「夢を見るのは金がいるで。」という女性が登場します。
この小説は犯罪小説なので、書評も「社会の闇」「平凡な日常に忍び寄る悪」などと書いています。
お金はある
騙されて結婚し、故意に殺害され、財産を持って行かれては困りますが、実際には、
- 「金をいくらたくさん持っていてもあの世まで持っていけないので、一月でも二月でも夢を見よう。夢を見せてくれた人に財産をあげてもよいではないか。」
と考える人(特に老爺)がいるようです。
本人はそれでよいのかもしれませんが、相続人(後妻業のような相続人ではなく、本来の相続人のこと)には不満が残るでしょう。
違法性はなくても、遺産分割協議がスムーズに進まない可能性があります。
違法ではありませんので、訴訟をする性質のものでもないでしょう。違法性があるなら、警察などに相談しましょう。
外国人との婚姻
外国人との結婚が増えています。日本に滞在している外国人が増えているのですから、当然といえば当然です。
国籍は変わることがありますから、ここでいう外国人とは、もとは外国籍で、婚姻を機に日本国籍を得た人のことだとお考えください。
夫婦として、共に助け合い、ふたりで幸せになりたくて結婚するならよいのですが、そうではないのに諸事情があって婚姻届を出すケースがあります。
- 日本に滞在し就労するために、婚姻を利用するケース
- 経済的な利益のために日本人と婚姻するケース
- 母国にいるよりも、日本にいたほうがよいので、とりあえず日本人と婚姻するケース
など、いろいろありますが、日本人と婚姻したのですから、「相続」の問題も生じます。
たとえば、婚姻した日本人(婚姻に関係なく日本人だった人。この人が被相続人となるケースです)が、婚姻後、ほんの数年で死亡した場合など、遺産相続・他の相続人との遺産分割協議で協議がスムーズに進まないかもしれません。
偽装結婚
本来の結婚ではない結婚が問題です。
日本人と外国人が婚姻届を提出し、その後、ほんの少し同居する場合もありますし、事実上、同居がない場合もあります。
はじめから夫婦になるつもりはなく、日本で就労する・日本人の財産が目当てで、婚姻届を提出してもらう見返りに日本人に金銭を渡す、というようなケースです。
夫婦として暮らすつもりがないのであれば、通常は偽装結婚であり、この婚姻届は無効ですが、
次のような場合は問題はないのではないでしょうか。
- 相手が資産家であるから
- 相手が美女(美男)であるから
上記のような婚姻もあるでしょう。この場合、相手に資産がなくなったとか、相手が美男(美女)でなくなった時点で、結婚した理由がなくなるわけですから離婚事由が生じると思われます。
他国では、このような理由での離婚は認められないこともあるようですが、わが国では当事者が納得していれば何のの障害もないといってよいでしょう。
偽装結婚と相続権
婚姻には、社会通念上夫婦であると認められるような関係をつくる意思が必要だというのが通説です。
夫婦として暮らすということがどういうことなのかは難しいですが、【同居義務】もご参照ください。
偽装結婚には、夫婦となる意思はありませんから、この婚姻届は無効であり、死亡した人の相手方は配偶者(夫・妻)ではありません。
夫でも妻でもない人が相続人になるはずがありません。
偽装結婚とはいっても
上記のことは、あくまでも理論上のことで、実際には、婚姻届を提出したときに、本当に婚姻の意思がなかったかどうかがわからないので、それを訴訟で確定するしかないでしょう。
また、婚姻届提出時の「ふたりの気持ち」は証明が難しいと思われますので、理論とは逆に、婚姻届が有効となる可能性が高いと思われます。
要するに、偽装結婚であっても、事実上、その外国人は配偶者となり、相続もすると考えておいたほうがよいと思います。
よほどの証拠がない限り、訴訟をしても費用と労力のムダのような気がします。
また、婚姻届を出さない「事実婚」も広く認められていますから、一層複雑になると思います。
【内縁の妻の相続】もご参照ください。
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