不在者と代理人

不在者財産管理人特別代理人

家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう場合と、不在者財産管理人を選任してもらう場合があります。「不在者の財産管理人」といわれることもよくあります。
特別代理人との区別がつきにくいとのご質問をいただきますので、少しだけご説明します。

不在者財産管理人の役目

不在者とは、「従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者」とされています。死亡を前提とする必要もなく、生死不明状態かどうかも問題とはなりません。

不在者に財産がある場合、事情によってはその財産を管理しないと迷惑を被る人がいます。その場合に、利害関係人や検察官の申し立てによって不在者財産管理人が選任され、財産の管理・保存をします。

不在者財産管理人の具体例

  • 遺言書に、たとえば「△△県△△市にある山林は、私の死後、売却して、現金で△△氏に遺贈する。」と書いてあると、相続人全員で売却手続きをしなければなりません。

しかし、相続人の誰かが不在者の場合、その不在者の代わりに手続きをする人が必要です。それが家庭裁判所から選任される不在者財産管理人です。遺言書に書かれたとおりにするので、不在者財産管理人が何らかの判断をしたりする必要はありません。

本来、不在者財産管理人の役目は、財産の「管理と保存」ですから、遺産を分割するなどの「処分」はできません。そこで、処分する場合にはさらに裁判所から「権限外行為許可」を受けなければなりません。

  • 相続と直接関係ないかもしれませんが、不在者名義の不動産があることがあります。税金もかかるでしょう。そうなると場合によっては、その不動産の売却をし、税金を支払うことが考えられます。この場合も裁判所から「権限外行為許可」を受けて行います。

不在者がいると、相続でなくても手続きが必要になることがありますが、遺産分割協議で不在者財産管理人の選任申し立てまでするとなると、なおさら手続きが複雑になります。