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相続の開始とは
どなたかが死亡なさると相続関係が生じます。「死亡」には失踪宣告、認定死亡も含まれます。これが「相続の開始」です。権利・義務関係が受け継がれることになります。「義務を引き継ぐ」とは、負債・借金も受け継ぐ可能性もあります。誰がどのように受け継ぐのかを期限内に明確にしなければなりません。放っておくと、通常はすべての相続を承認したことになります。
家族だけの問題ではなく
被相続人は、さまざまな活動や団体の会員にもなっておられたでしょうから、退会手続きなどもしましょう。
たとえば、法律行為の委任などは死亡によって自動的に終了します。組合に所属していると死亡によって脱退するのが普通です。生前にどのようなことをなさっていたか日頃から知っておきたいものですが、なかなかわかっている家族は多くはないかもしれません。
すべて遺言で決まる?
昔は、家を誰が継ぐか大体決まっていました。しかし今では法律が変わって、「個人」を重視することになりました。死亡した人の財産を誰がどう受け継ぐかは、遺言によって死亡者本人が生前に書き残しておく(遺言書を書く)のが原則だという人もいます。
相続のルールは国家が決める
ある程度は本人が遺言書で指定できるのですが、遺言書があっても必ずしもその内容どおりになるとは限りません。法定相続人以外は相続人にはなれませんし、愛犬に相続財産を譲ることもできません。遺言書で指定できる内容も法定されていますから、完全に故人の好きなようにすることまでは、国家が認めていません。どのように相続させるか、相続のルールは国家・国民全体で決めることなのです。形式・内容共に法に則ったものでなければなりません。
口頭の遺言でよいか
病気で亡くなる場合など、症状が重くなって、ご自分で最後の時だと感じたときに、家族を病床へ呼んで、「誰に何を相続させる」というようなことを口頭で言えばよいと考えている人がおられますが、法的には無効です。(特殊な遺言方法がありますが、この例の場合はあてはまらないでしょう。)
遺言は口頭でいいか、カセットやビデオでいいか、パソコンで作るかという問題もありますので、【遺言書の種類】を参考になさってください。
亡くなる直前に病床で口頭で述べたことを、相続人たちが遺産分割協議でそのとおりにするなら、法的な「遺言」をしたことにはなりませんが、相続人がみんな納得するなら、何も問題はありません。
遺産分割協議とは「全員の納得」
遺言書があって、相続関係がすべてまとまるならそれでよいでしょう。遺言書がなければ、遺産分割協議をしなければなりません。
遺言書があっても法的な有効性の問題もあります。相続人が全員気持ちよく納得できるかどうかはわかりません。
100人中の5名?
従来、相続の際に相続税を支払うケースは全体の4パーセント程度といわれていました。亡くなった方が100人いて相続が開始しても、相続税の対象となる相続は4件程度ということでした。
今後は相続税の対象になるケースがかなり増えることになるもようです。(平成23年4月現在。)100人のうち、5・6人と試算する人もいるし、10人以上という人もいるようです。
基礎控除額
- (旧)5000万円+法定相続人数×1000万円
- (新)3000万円+法定相続人数×600万円
相続で重要なのは「愛と正義」
「愛と正義」というと、マンガや小説のようで面映ゆいですが、現実にそのように口に出して言うかどうかは別として、本当にそのとおりだと思います。
相続で問題なのは、名義の書き換えとか、相続人の間で何をどのように分けるかということです。ここで、親子・兄弟姉妹で意見が一致しないことがあります。
強欲だからとは言いません。公平・平等・正義・愛情・人間関係・昔の思い出、その他もろもろが集約されて表面化するのです。愛もあれば憎しみもあるでしょう。公平・不公平の問題も大きいです。
行政書士の役割
表面化させてから収めるのか、表面化しないように工夫するのかという問題はあるでしょうが、どちらにしても第三者が立ち会って、客観的・法的アドバイスをすることは可能です。行政書士は問題が法的な争いになる前に協議に立ちあうなどして、手続きに協力します。実際、相続人全員のことを考えればメリットは大きいと思います。
遺言書・相続・遺産分割・遺産分割協議などすべてについて共通するのですが、【法律以前の話】など、参考までにご一読いただければと思います。