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戸籍関係の届出
離婚・離縁・養子縁組・認知などは、役所に届けなければなりません。裁判所で決まるケースもありますが、それは裁判所にお任せするとして、ここでは、自分でなさる場合の注意事項です。
どの手続も自分でできますし、普通は書面に記載して署名押印などをするだけですから、非常に簡単なことです。
たとえば離婚
まず離婚についていいますと、国によっては離婚が様々な理由で制限されたりしますが、わが国では自由です。その副作用かもしれませんが、自分の考えとは関係なく、相手(配偶者。妻か夫です。)に勝手に届けを出されることが珍しくありません。
離婚をするには、それぞれが署名し押印します。離婚の事情を知っている人が「証人」として署名押印もします。
それだけ厳密なら間違いは起こらないかというと、そうではなく、自分の知らないうちに勝手に自分の離婚届が出されていることがあります。もちろん自分は離婚届に署名も押印もしていないのです。
役所では、夫妻の署名押印(らしいもの)があって、証人の署名押印があって、形式が整っていれば受理します。
ほとんど何でも同様ですが、詐欺・脅迫・勘違い・偽造書類は、法的な効力を否定できるのが原則です。
自分が離婚する気もなく、勝手に誰かが署名し、押印し、証人も「真実ではない」とわかっていながら署名押印するわけですから、取り消すとか、無効だと主張することができそうです。
しかし、相手(妻か夫)が相談もなく勝手に提出してしまったとはいえ、一般に夫婦仲はよくなさそうな感じがします。
仲睦まじい夫婦なら、一方が勝手に離婚届を出すことは考えにくいですし、離婚届の意味もわからずに、第三者である「証人」まで巻き込んで届出をしたということは、今後の婚姻生活にも支障があるのではないかと考えたくなります。
裁判所の決めるることですから、ここで意見を書いても仕方がありませんが、偽物の離婚届だったから、離婚の届出は効力がなく、また、夫婦に戻りなさい、という判断をするより、「このまま離婚をしてはどうでしょうか?」という提案があるかもしれません。
夫婦の一方が離婚したがり、一方が離婚を拒否することはよくあります。
上記のように、偽物の離婚届を出してしまえば、相手が離婚を拒否しても、裁判所が離婚に協力してくれるのではないかという気さえしてきます。さらに、裁判所へ訴え出るのは気が重いですから、「もう、離婚でいいや。」という気になる人もいるかもしれません。
戸籍関係の届出を止める
そういう虚偽の離婚届を防ぐために「不受理届」を役所に出しておく(不受理申出をしておく)ことができます。
本人の意思に基づかずに何らかの戸籍関係の届出がされるおそれがあるときに、役所で手続きをしておけば、戸籍に本来は効力のない届出の記載がされないようにする制度があるのです。
ここまで主として離婚を例に書いてみましたが、この「不受理申出制度」では、
- 婚姻届
- 協議上の離婚届
- 養子縁組届
- 協議上の養子離縁届
- 認知届
です。この申し出をした人なら、これを取り下げるのも簡単です。
市区町村長は、不受理申出をした人に関する届出があって、それを不受理としたときは、不受理申出人にそのことを通知することになっています。
夫婦によって、親子によって、事情はいろいろありますから、上記の戸籍関係の届出をされる心配があるのでしたら、不受理申出をしておくとよいでしょう。