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Contents
- たわけ者
- 先祖伝来の品
- 「お前」
- 本人確認の方法
- 「正当な事由」
- 日本にいる外国人の遺言
- 貨幣価値の換算
- 遺産相続と社会保障
- 質の良い介護
- 変わった人
- 多くの人に相談するとよいのか
- 遺産相続では法改正にも気をつけて
- 連絡先をお願いします
- 離婚したら遺言書も
- 離婚・再婚前の子と相続
- 相続税を支払うのは5パーセントか
- 印鑑証明書は慎重に
- まずは「真心」
- 遺言書の内容
- 事情をお聞かせ下さい
- 親の真意
- 人生における1千万円
- 相続手続きを忘れていませんか
- 改製原戸籍
- 供養
- 将来への不安
- 公正証書遺言
- 家系図
- 銀行での相続手続き
- 相続と遺言・遺言書
- 内容証明・内容証明郵便
- 内縁中に生まれた子の父は
- 夫の子ではない子の出生届を出したら
- 遺言による認知と遺産相続
- 代襲相続とは何か
- 祖母と兄弟ではどちらが相続人か
- 離婚した配偶者との子は相続するのか
たわけ者
「たわけ者」とは「戯け(たわけ)者」と書いて、「ふざける人」という意味だという説と、「田分(たわけ)者」と書くという説があるそうです。
「田分者」は、先祖代々の田畑を相続で子供に分けると、ひとりあたりの面積が小さくなって、収穫が減り、家系が衰退するようなことをする愚かな人という意味のようです。
だから、昔は家督相続でひとりが家を継ぎ、他の子(兄弟)には、田畑などは譲らない代わりに、他のもの(金銭等)を渡していたのでしょう。
「たわけ者」の問題は、現在でも解決していないのではないでしょうか。
子供が二人いれば、ひとりはそのまま親の家に住み続けるかもしれません。もうひとりはその家を出て行くでしょう。そうすると、親の家に住み続ける子は、兄弟にその土地の価格相応の金銭を渡すのでしょう。
まだ若いとか、十分に現金を持っていれば可能ですが、親と同居していた子があまり現金を持っていない場合、どうしたらいいでしょうか。ローンを組むのも現実的とも思えません。
しかし、出ていった子が、「その不動産相当の金銭をもらわないと不公平だ」というと、解決は難しいと思います。
この65歳の人が病気がちだったり、子供もいなかったりすると、本当に困ります。
不動産を売って、相続分に応じて分配して、アパート暮らしをするかもしれません。
事案は個別に異なっても、似たような相談を受けることがあります。
先祖伝来の品
トピックスの『たわけ者』と関連する話ですが、「ご先祖様の形見」とか「家宝」というものをあなたはお持ちでしょうか。
「そんなものは、もともとない。」とは限りません。ご先祖様をさかのぼっていくと、意外と意外かもしれません。大名の家来のうち、それなりの身分の人は、合戦に敗れた後、身分を隠して暮らしたという話はよく聞きます。そのような家には、「人には見せないように」という名品があっても不思議ではありません。
さて、相続ですが、ある動産又は不動産を2人以上で共有している場合に、その共有状態を解消することを求めることができます。共有物分割といいます。民法ではわざわざ256条から262条まで規定を設けています。どちらかといえば、共有はしないのが原則で、共有物分割禁止の方が例外なのです。
家督相続が廃止され、長男が跡継ぎということもなく、古い風習は変更されました。
そこで、「家宝」の話です。祖父母や父母が他界し、子供たちは地方から大都市へ、大都市から他の大都市へ、などのように、子孫はばらばらになっていきます。たとえば父母の時代までは昔からの家に住んでいたので、土蔵にあった名品も各地に散らばります。場合によっては、自分の先祖から伝わったものがひとつも手元にないという子孫もいるはずです。
ひいおじいさんの顔を見せたくても写真はない、ひいおばあさんが嫁入りのときに持ってきた掛軸は、現在誰のところにあるかもよくわからない。こうして先祖とのつながりはなくなっていきます。
家系図等を作って、自分のルーツ探しを楽しみにしている人もおられます。
祖先がわからなくなった方が「身分がわからない」からいい、という人もおられます。
ただ、先祖伝来の品をめぐって、遺産相続・遺産分割で争いになることもあります。それぞれの家族によって考え方が違いますから、できることなら、普段から話し合っておくとよいでしょう。
遺言書でうまく分配する方法もあるかもしれません。
「お前」
あなたは友達、恋人、子供をどう呼ぶでしょうか。
付き合っている彼から「お前」と呼ばれたときは、親しさの表れでしょうか?
もともと「お前」とは、「御前」「大前」で、
「神・仏・貴人の前」
の意味だそうです。
「貴人の前」の意味だったものが、次第に「貴人」そのものをさすようになり、
次第に、自分の同輩あるいは人を見下して使われるようになったそうです。
相続開始後、遺産分割協議で兄弟姉妹が集まり、意見の相違があって、ときには大きな声が飛び交うようになると、この「おまえ」という言葉が問題になります。
「おまえに『おまえ』と呼ばれる筋合いはない!」
ということになります。
「あんたに『おまえ』と呼ばれる筋合いはない」
ということもあるようです。
「あんた」と「おまえ」がどの程度違うのかわかりませんが、遺産分割協議には初めから行政書士が立会うとよいこともあります。
年をとって家族にはきつく当たる人も、他人がいると落ち着いていることもありますので、そういう点も含めてご相談ください。
本人確認の方法
たとえば、遺言書の中で遺言執行者に指定されている人が、金融機関や役所などへ出向いたときに、本当に本人(遺言書の中に書かれた遺言執行者本人)なのかどうか確認する必要があります。それには、
- 印鑑証明書
- 自動車運転免許証
- 旅券
- 住民票の写し
- 健康保険証
- 国民年金手帳
- 母子健康手帳
- 身体障害者手帳
- 写真付き住民基本台帳カード
を所持して、提示することなどで証明されます。たいていの場合、官公署の発行したものが必要とされると思っていてください。しかし、上に紹介したようなもので、本当に本人確認が出来るのか心配なものもあるように思います。顔写真がついている方が好ましい(無難)でしょう。
ですから、場合によりますが
- 健康保険、国民健康保険または船員保険等の被保険者証
- 共済組合員証
- 国民年金手帳
- 年金手帳
- 国民年金、厚生年金保険または船員保険に係る年金証書
- 共済年金または恩給等の証書
- 学生証、会社の身分証明書または公の機関が発行した資格証明書で写真付のもの(療育手帳、身体障がい者手帳等)
以上のものの場合は、2点以上を同時に提示しなければならない場合もあります。2点を揃えれば、不正入手である可能性はかなり低くなるでしょう。
「正当な事由」
【遺言執行者】の欄に、『遺言執行者を引き受けたけれども、辞めたくなった場合には、「正当な事由」が必要』であると書きました。
正当な事由とは、どのような事由なのか気になるかもしれません。
「正当な事由」よりも厳しい要件なのは「やむを得ない事由」で、これは、たとえば親権を持っている親が、親権者を辞めたい場合に必要とされます。
要するに、親権を持っている人が、親権を放棄したいというのは余程のことのはずです。「やむを得ない事由」よりも、「正当な事由」の方が認められやすいという程度にご理解ください。
日本にいる外国人の遺言
遺言書は、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つをご存知なら十分だと思います。
日本に滞在する外国人が日本の民法に従った遺言をすることもできます。公正証書は日本語で記載されていなくてはなりませんので、公正証書遺言は日本語でなければなりません。通事を立ち会わせるなどの工夫が必要です。遺言書には押印が必要です。三文判で構わないことになっています。印鑑を持っていなければ拇印でよいようです。カタカナで「スミス」と彫った印鑑をみたことがあります。作成は簡単ですね。ハンコ・印鑑については(クリック→)【ハンコのことなど】をご参照ください。
自筆証書遺言・秘密証書遺言の内容は、日本語でなくて構いません。
そして「タイプライターで書いてサインすればよいのか」とか、「サインの習慣のない国の人が全部自筆で書いたものは有効なのか」という裁判もあったので、混乱を招くような方式は使わないに越したことはありません。せっかく書いた遺言書で、混乱を引き起こしては元も子もありません。
貨幣価値の換算
たとえばAさんが亡くなって、相続が開始し、相続人が遺産分割協議をするとします。
Aさんが、相続人のひとりであるBさんに金銭を贈与していた場合、その金銭を相続財産に算入することがあります。
贈与したときと相続が開始したときの貨幣価値が違っているかもしれませんから、不公平のないように、金額は相続開始のときの貨幣価値に換算します。
どうやって換算するかですが、総務省統計局 「家計調査」・「消費者物価指数」 などによるのが一般的です。
遺産相続と社会保障
今は2012年、世の中が不景気です。精神的な病気などで働きに出られない人もいます。
子が今は親の持ち家に親と同居しているけれども、将来の生活に不安を抱えている人は多いのです。
親も心配して、なんとかその子が生活していけるようにと工夫なさるようなのですが、遺産相続についての遺言をして、その子に不動産も預貯金もあげることにすると、他の子が納得するでしょうか。ひとりっ子なら問題ありませんね。
このような例では遺産分割協議のときに紛糾するのではなく、親が遺言書を書いた時点で問題になるようです。親の相続が開始する前に、他の兄弟たちが知れば、その時点から親子関係・兄弟関係が悪くなります。
遺言書を作成するときには、関係者専門家とよくご相談ください。
質の良い介護
年を取って、あるいは病気で、体が動かなくなったり、話せなくなることがあります。「寝たきり」ですね。その場合でも、眼は動かせることが多いようです。
寝たきりで施設に入っている人のところにいったとき、枕が頭の先の方にあって、頭がずり落ちそうでした。もっと首の方に入れてあげようと思って、頭を持ち上げて枕をもっと深く入れました。
すると、その人はとても「痛そうな眼」をするのです。痛そうな眼って、お分かりいただけますね? 頭を動かされるのが嫌なのではなく、明らかに痛そうなのです。
乱暴にもしていないし、大きく頭を持ち上げたりもしていません。いったい、どこが痛いのか?
首か? 肩か? それとも頭の後ろに怪我でもしているのか?
あちこち調べているうち、やっとわかりました。
酸素吸入のためのマスクをしているのですが、そのマスクを固定するのに、髪の毛をチョンマゲのように束ねて、吸入マスクのゴムひもをそれに結び付けています。そのチョンマゲが非常にきつく束ねられているので、髪の毛が引っ張られて痛いのでした。
看護師さんがそれをやったときに、既にかなり痛かったはずですが、話すことができないので、ずっと我慢していたのでしょう。
さて、なぜ上のエピソードを紹介したかというと、看護をする人にもいろいろいるということです。
単に、介護知識、医療知識だけでなく、日常の気遣いというものが人によって違います。
手足を拭くにしても、そっと拭くか、強く拭くか、指の間まで拭くのか、大雑把に拭くのか。そして、介護されている人がどのように望んでいるのかを観察しているかどうか。「女性ならではの心遣い」ということはよくいわれますが、男か女かの問題ではありません。その人の性格なのです。
お金を出せば、介護をしてくれる人を雇えます。しかし、その介護の質を事前に知ることは難しいわけです。
ほとんどの人は、寝たきりで介護が必要になったとき、どのように介護されるかは運次第ですが、お金のある人は、お金で何とかしようと考えるかもしれません。この人なら安心という人を見つけたら、その人を専属で雇えばよいのです。
床屋さんではあまりないことですが、美容院では自分の気に入った人を指名することが多いでしょう。それと同じことです。
もちろんお金がなければ、介護さえ受けられません。これは、年老いてから体が動かなくなった場合の大きな心配事でしょう。
こういうことが、遺言・遺言書・相続・家族関係の問題となっていくことは十分考えられます。
変わった人
たとえ若くても「変わり者」はいます。「変わり者」という表現は適切でないかもしれませんが、「ちょっとあの人は変わっている」「あの人とは気が合わない」「あの人と一緒にいたくない」と言われるような人が、あなたの身の回りにもいるでしょう。
程度によりますが、そういう人が家族・親族にいると、将来「親子関係・兄弟関係・家庭不和・老後問題・遺言・遺産相続・遺産分割・相続手続」で、問題が生じる可能性は高いと思います。
医学的に正確なことはわかりませんが、一種の「呆け」のような状態は、40歳前後でも見受けられます。思考能力が低下しているというより、考え方が一般的な人とは違うのです。
普段は人の言ったことや日常の出来事をすぐに忘れるのに、別の件では周囲が感心するほど周到で、念の入った嘘をついていたことが後日発覚することがあったりします。また、人の言行から、だいたいその人がどういう人で、何をしようとしているのか子供でも理解できそうなケースでも、まったくわからないという大人もいます。
普通、このような人を病院に連れて行くことはないでしょう。しかし、将来、何らかの問題が生じる可能性を考えておいた方がよいと思います。
家族・肉親では対応が困難なことがありますから、当事務所では心理カウンセラーの紹介も致します。また、第三者が話すと当人もわかってくれることがありますから、お心当たりがありましたら、一度ご連絡ください。
「身近な相談相手」としてお話しいただいているので、川崎市 中原区・高津区・幸区、横浜市 港北区、東京都 大田区・世田谷区、東横線・南武線沿線、武蔵小杉・元住吉・武蔵中原・溝ノ口 近辺の方には当事務所は便利です。
多くの人に相談するとよいのか
遺言書を書くことも、相続人になることも、内容証明郵便を出すことも(受け取ることも)人生でそれほど何度も経験することではないでしょう。手続がわからないだけでなく、他の人と意見が合わないとなれば、誰でも悩んでしまいます。
困ったことがあったら、友人・先輩などに相談する人は結構いるでしょう。しかし、私はほとんど相談しないことにしています。
もし先輩に相談したら、やはり先輩のアドバイスには重みがあります。友人に相談すると、多数派の意見が正しく思えます。話のうまい人の意見には引きこまれやすいです。
そして、多くの、さまざまなアドバイスを受けたあと、そのたくさんのアドバイスの中からひとつを選ぶのは自分です。どの意見を選ぶのか、また自分で悩むことになってしまいます。
私なら、二つくらいの方法を考えて、信頼できる人ひとりを選んで、相談します。そして、もし相談したなら、ほとんどその人の意見の通りにします。自分で決められなかったから、その人に尋ねたので、その人の意見を聞かないと失礼ということはないにしても、とにかくその人の言うとおりにします。
以上は、私の方法なのですがいかがでしょうか。もちろん、そのようにやってみて、後悔することもあります。しかし、後悔しても、失敗しても、確実に自分の人生の知恵として、身についていると思っています。
遺産相続では法改正にも気をつけて
遺産相続の手続きは、相続放棄などの問題がなければ極端に言いますと、いつやっても構いません。実際、ひいおじいさんが亡くなって、その相続手続きをしていなかったということもあり得ます。その場合、税金面で多少都合がよくないことがあるかもしてません。
ひいおじいさんの相続手続きをしていなければ、たとえば妻やその子に相続されます。そのような相続人が相続手続きをしなくても、相続人がいれば相続されるのです。ただし、ひいおじいさんの遺産が大勢に分割されて相続されるので、手続きをするときには煩雑になるでしょう。
また、法定相続分は相続人たちの遺産分割協議等で参考にされたり、遺産分割協議がまとまらなかったときに適用されたりしますが、この相続割合は法改正によって変わることがあります。
たとえば、昭和22年改正で、配偶者の法定相続分が変更になりました。配偶者優遇の変更がされています。
相続人 | 昭和22年改正 | 昭和55年改正 |
---|---|---|
子と配偶者 | 3分の1 | 2分の1 |
直系尊属と配偶者 | 2分の1 | 3分の2 |
兄弟姉妹と配偶者 | 3分の2 | 4分の3 |
「相続開始の時」の法律に従います。何世代にも渡って相続手続きをしていないと、相続人の人数が増えるだけでなく、法律上も複雑に(間違えやすく)なることがおわかりいただけるでしょう。
相続手続きをしないまま時間が経っているものを、手続きしたいという依頼には、時間をいただいてこちらも気をつけるようにしてます。
連絡先をお願いします
相続や遺言などの業務依頼や相談等でご連絡いただきますと、まず、行政書士の業務かどうかを確認しながら、「無料相談」という形でお話しをうかがいます。
ひとことの簡単なアドバイスで解決するのでしたら、初回は料金をいただいておりません。
遺言書の作成や、遺産相続の仕方などになりますと、書類を作るだけでなく、全体の事情を考慮する必要があります。遺言書も遺産分割協議書も、書く内容が決まっているならご自分で書かれるはずです。
書類の書き方等はすぐにお知らせできますが、後でもう一度、相談全体を考えてみますと、本来、作成すべき書類はそれではないのではないかと思い至ることがあります。
その場合に、さらに事情を確認した方がよい場合がありますから、無料相談の場合でも連絡先をうかがっておかないと困ります。
初めから完全なお答えをするよう心掛けていますが、万一に備えて連絡先はうかがうことにしております。
無料相談ですと、匿名希望の方もおられますが、行政書士は守秘義務がありますから、安心してご相談ください。
離婚したら遺言書も
離婚と遺言とは直接関係ありませんが、たとえばあなたと離婚した相手との間に子供がいて、再婚相手との間にも子がいる場合、将来、相続開始のとき(つまり、あなたが死亡したとき)、前婚の子も後婚の子(前妻との子、後妻との子など。つまり前に婚姻関係にあった人との子)も同じ権利をもつ相続人です。どちらかの子と疎遠だったりということがあるでしょう。
法的な相続分は同じなのですが、現実にはどうしたらよいでしょうか。
そもそも遺産相続は、
- 亡くなった人の家族が、その人の死亡の前後で急に生活が変わらないように。(生活の保護)
- 推定相続人(ある人が現在死亡したら、相続人となるであろう人)は、その人の財産を相続すると期待している。(期待の保護)
ということなどのためと考えられます。
相続が開始してから、被相続人の出生から死亡までの戸籍を揃えると、それまで知らなかった相続人(たとえば、前婚の子)がいるとわかることはよくあります。
知らなかった場合もありますし、知ってはいたが面識はない、何十年も会っていない、などいろいろなケースが考えられます。実際によくあることです。
その場合に、相続・遺産分割が難しくなることがありますので、心当たりのある方は、遺言書を作成して、不動産は誰々に相続させる、他の財産は誰に何割相続させる、のように指示しておくとよいでしょう。
また、私はしつこくあちこちに記載していますが、遺言の付言事項としてでもよいし、別に手紙でもいいし、ビデオでもよいので、そのように分けた理由もはっきりさせるべきだと思います。
そのようにして、亡くなった人の気持ちが相続人たちに理解してもらえれば、譲り合って和やかに遺産相続ができるのではないでしょうか。
離婚・再婚前の子と相続
Aさんが甲さんと結婚していて息子がひとり(B男)いたとします。
Aさんは甲さんと離婚しました。
そしてAさんは乙さんと再婚して、息子がふたり(C男とD男)いるとします。
それらのB・C・Dには、子がひとりもいないとします。
年月が流れ、Aも甲も乙もみんな死亡したとします。
そしてDが死亡しました。
Dの相続人は誰でしょうか。
普通は、BとCです。
そして、BとCの法定相続分は違います。
法定相続分では、実感として「おかしい」と感じるケースもあるでしょう。
このようなときに、BとCが遺産相続・遺産分割で苦労しないように、Aさんは遺言書を作っておくとよかったのです。遺産分割協議のときになって「遺言書があればなぁ」と思うことがよくあります。離婚したときには、遺言書が必要かどうかご検討ください。
相続税を支払うのは5パーセントか
行政書士は税法については一般常識を越える範囲でしかお話ししていませんが、遺産相続に際して、相続税が課されない範囲はさまざまなところで見聞なさるでしょう。これまで
5000万円+法定相続人数×1000万円
まででしたが、
3000万円+法定相続人数×600万円
と改正されるもようです。(平成23年4月現在。)相続税が課されない額が少なくなれば、相続税を支払う人が増えるということです。
当ホームページに「相続の際に相続税の対象になるケースは、全体の4パーセント程度」とこれまで書いてきましたが、今後は相続税の対象になるケースが増えることになるでしょう。
一説によると、相続税を支払う人の割合を5パーセントにするのが国の方針らしいです。本当かどうかはわかりませんし、政府の方針でいくらでも変えられることですから、考えても仕方がないかもしれません。
印鑑証明書は慎重に
文房具屋さんや百円ショップで売っている印鑑でも、微妙に印影を変えてくれているようですが、いつ同じものが登場するかわかりません。三文判の印鑑と実印の違いといえば、実印は印鑑証明書とセットにできるということです。
印鑑証明書を取得するには、まず本人が役所で実印登録をしなければなりません。そのときに「本人確認」があります。それから自分で(あるいは正規の代理人が)印鑑証明書を取得してくるわけですから、本人に内緒で他人がすることは難しいといえます。
しかし、相続等でいろいろな手続きをしていると、必要最低限が何枚なのかわかりにくいので、印鑑証明書だけでなく、戸籍謄本や住民票もまとめて何枚も持っていることがあります。
印鑑証明書は多くの場合、有効期限が3か月ですが、なかには有効期限のない場合もあります。それが、誰かの手に入って間違いが起きないとも限りません。取り扱いは慎重に。
まずは「真心」
イギリスの諺に「良き法律家は悪しき隣人」というのがあります。生半可に法律を勉強すると、やたらと法律を振りまわし、「常識」や「真心」を忘れてしまうことを言っているそうです。
もともと、行政書士は総務省の管轄ですから、法律に則っていればよいということなく、「街の法律家は、良き隣人・頼りになる隣人」でありたいと思います。
相続関係業務をしていますと、親しい間柄の人たちで意見の不一致に遭遇します。むしろ、「あって当然」だと思います。近くの人と問題が生じるのは当たり前です。問題は起きても構いませんから、まずは「誠実さ」と「真心」をもって対応しましょう。その真心を踏みにじられるようでしたら、断固とした対応をしなければなりません。
遺言書の内容
「私の全財産を△△に遺贈する」というような書き方は、私は良くないと思います。問題は「全財産」の部分です。遺言書を書くときの時点のことで構いませんから、土地・建物・預金・動産など、できるだけ列挙した方が、「譲る意図」がはっきりするでしょう。意図をはっきり知らせることが、意思能力や判断能力があったかどうかがわかりやすいでしょう。
何度も書きますが、なぜそのように遺贈(相続)させたいのかという理由を付言事項として書いておくことも、トラブル防止に役立ちます。トラブルを防止してこその遺言書ではないでしょうか。
事情をお聞かせ下さい
「相続問題」「遺言・遺言書の起案・内容相談」の場合、「○×△の手続きをして下さい」「遺言書に○×△と書きたいのですが。」とご連絡いただくことがほとんどです。
確かに、ご依頼どおりの手続きや内容でよさそうなのですが、よく話をうかがいますと、もっと良いやり方があることも多いのです。
よく法律を調べて来られる方がおられますが、念のため、事情を初めからお話し頂けると、もっとよい結果が得られるかもしれません。
もっとも、「相続で何かトラブルがあると困るから、すべて任せる」としていただけると、相続人の中で目立つ人がいなくなり、スムーズに進む場合もあります。
遺言書の場合は、法律以前に、人間関係が重要なこともあります。行政書士には守秘義務がありますので、安心してお話しください。そうでないと、大きく手続きや内容を誤るかもしれません。
その点、時間をかけてお話をうかがうのが行政書士だと思っています。
親の真意
次男が父親に呼ばれて、「自分が亡くなったときには、長男と次男が平等に相続できるように遺言書を書いたよ。」と言われたそうです。次男はそれを信じましたし、疑う理由もなかったのでした。
ところが、父親が亡くなり、遺言書を見てみると、「財産はすべて長男に相続させる」と書いてありました。
次男は怒りませんでした。それよりも、なぜ、自分には何もないのか、なぜわざわざ「平等にする」と言われて、実際には不公平なのかがわかりません。しかも自分には「まったくなし」という内容にショックで怒る気力もないのでした。
この話は実話を脚色してあるのですが、実際、親にだまされた(?)と感じることや、不公平に相続する理由がわからないという例はあるようです。
きちんと判断して遺言書を書き、そのような結論にした理由をきちんと書いておくことが重要だと思います。これを「遺言の付言事項」といいます。
人生における1千万円
「宝くじで1千万円当たった」、「500万円の車を盗まれた」、「もらえるはずの退職金1千万円をもらえなくなった」、というのは一大事だろうと思います。
しかし、相続、遺産分割、遺産相続等の関係で、500万円とか1千万円が自分のものになるかならないか、というのは意外とささいな(?)問題のことがあります。要するに、500万や1千万のブレはよくあるようです。「面倒だからいいや」とあきらめる人もいます。
ご希望があれば「あきらめる」のか「あきらめない」のかという相談からお聞きします。人生観、自分の生活状況、相手との関係、それらを総合して、法と感情に照らして対応しましょう。
相続手続きを忘れていませんか
正月やお盆に、家族・親戚でご先祖の話などをなさいましたか。
身近な人が亡くなって、悲しんでいるうちに時間が過ぎて、相続手続き・相続問題を忘れていたというようなことはありませんか。
その方が亡くなってから、3か月とか10か月が手続きの大きな節目となります。
遺産をくださいとはいいにくい場合もあるでしょうが、きちんとした手続きは供養のうちだと思います。
【親に言えない】もご参照ください。
改製原戸籍
「かいせいげんこせき」というのが正しいようですが、「はらこせき」ともよく呼ばれます。
戸籍とか戸籍謄本が問題になる場合に、「戸籍謄本」、「除籍謄本」、「改製原戸籍謄本」があります。
- 戸籍謄本:現在・最新の戸籍です。改正原戸籍をひっくるめていう場合もありますし、場合によっては謄本類すべてをいうこともあるようです。
- 除籍謄本:戸籍には「筆頭者」が書かれています。役所で戸籍を探すときの「インデックス」のような働きをします。ですから、戸籍の筆頭者が「日ノ本太郎」で、「花子」さんという妻がいて、「一郎」さんという長男がいるとすると、日ノ本太郎さんが死亡しただけでは、除籍謄本とはなりません。太郎さん・花子さん・一郎さん全員が、太郎さんの戸籍から抜けるとか、死亡して、太郎さんの戸籍に誰もいなくなったときに初めて「除籍謄本」となります。死亡なさった方の戸籍謄本が必要だからといって「除籍謄本」があるとは限りません。
- 改製原戸籍謄本:役所で戸籍を作り直す前の元の戸籍です。平成6年からコンピュータ化が始まったので、その前のものが「平成改製原戸籍」です。その前となると、昭和32年から、家単位で編成されていた戸籍を夫婦とその子供という単位に作りかえた戸籍です。
供養
うちでは犬を飼っていましたが、3歳4か月で死亡しました。年齢的には壮年期ですから、まさか死亡するとは思っていませんでした。
ペットが死亡した後、次の「代わりの」犬を飼っては亡くなった犬に申し訳ない、という意見もあるようですが、うちでは数ヶ月で次の犬を飼いました。
犬の性格も様々ですから、「こんなとき、前の犬なら違う反応をしたよね。」と、よく前の犬が話題になります。この方が前の犬の供養になるという人がいたので、我が家でもまねをしました。
相続や、遺言・遺言書の話など、縁起でもないと考える人もいるでしょうが、先祖と子孫のことを話題にするのは、自分の「生」を考えることになると思います。楽しいというと語弊があるかもしれませんが、意外と「心が安まる」ようです。なくなった人への供養にもなるのではないでしょうか。
将来への不安
「この国の将来が不安。自分の将来、子孫の将来も不安」ということをよく聞きます。年金、病気、孤独、など心配は尽きません。どうしても身近な人との協力・話し合いが必要でしょう。
もし約束事をしたなら、行政書士等に、その約束の法的有効性や妥当性を相談してみてはいかがでしょうか。
そして、遺言、相続、贈与など、約束事は第三者が書面にするとスムーズです。
公正証書遺言
遺言書にも何種類かあるので「遺言・遺言書」をご覧ください。
簡単に書けるのは自筆証書遺言ですが、内容や形式によっては効力が生じないことがあります。
専門家がお勧めするのは、公正証書遺言です。公証役場で公証人が作るもので、権威があります。公正証書遺言は公証役場で作りますが、理想的には行政書士などの専門家に現状と、どうしたいかの希望を話して、「原案」を作って、それから公証役場へ行くことをお勧めします。
ただ、きちんと作成すれば自筆証書遺言で十分だと思います。内容や作成の形式はご相談ください。
行政書士は、まず依頼者の状況をよく聞いて、真意を確認して、手続きを考えます。相談者の事情と希望をよく聞くということに関しては行政書士がもっともふさわしいと思っています。
家系図
戸主制度、家制度が廃止され、個人が重視される法体系にはなりましたが、自分の家系を知りたい、家系図を作りたいという方が多くおられます。
今まで、さまざまな理由から積極的には引き受けてきませんでしたが、このたび、本格的に業務のひとつに加えることにしました。
もっとも、これまでも依頼があれば応じていました。
銀行での相続手続き
亡くなった方はたいていどこかの金融機関に口座を持っていますから、預金を引き出すとか、名義変更の必要があります。これは原則として相続人全員の同意ですることです。
銀行としては、相続人全員から「その預金を相続人代表のAさんに渡していいです」という承諾の意味の署名・押印をもらえばよいわけです。
しかし、その銀行が望む書面完成に至るまでに、相続人の間で意見の食い違いはないのでしょうか。
当事務所にも「銀行が、戸籍と承諾書を持ってくるようにというので、それらの書類を集めてください」、という依頼が来ることがありますが、その承諾書(遺産分割協議書)を作る過程が大変なことがあります。
「銀行から、署名押印するようにといって、この用紙を渡されたよ」といって他の相続人に渡して、相続人が「銀行がそうするように言うなら、とりあえずそうしておこうか」と、意味もわからず署名して、後日、争いになることもあります。
書類などはよく読んで、署名押印の意味を理解しておかないと、取り返しのつかないことになります。専門家が関与していれば、あってはならないことなのですが、実際にはときどきあります。プライバシーの問題もあるので、ここでは具体的に書くわけにはいきません。
わからないときには、まずご相談ください。
相続と遺言・遺言書
相続や遺言については多くの方が関心を持っておられます。しかし、実際に遺言書を書く機会はなかなかありません。
相続について家族や親戚で話し合う機会も少ないでしょう。
正月やお盆は良い機会です。先祖の供養にもなり、将来の備えにもなります。話し合ってみてはいかがでしょうか。
内容証明・内容証明郵便
彩行政書士事務所では、安心生活の手助けとして「内容証明・内容証明郵便」を重視しています。トラブルは思わぬところからやってきて、予想外に大きくなることがあります。それを未然に防ぎ、少しでも小さく済ませましょう。またそのような心構えでいることが、災いを近づけない秘訣のような気がします。
主張すべき時に、主張すべきことを、きちんと伝えましょう。人につけ込まれない心掛けが大切だと思います。
内縁中に生まれた子の父は
婚姻中に出生した子は、その夫婦の子です。母親は、分娩という事実から、ほぼ間違いなく母子関係はわかるとされています。
婚姻中であれば出生した子は父の子とされるので、父子関係を否定したい場合には、「嫡出否認の訴え」が必要です。
内縁関係中に出生した子も母子関係はほとんど問題になることはないようです。内縁の父親も事実上推定されるとされています。
内縁中に懐胎して出生した子が「認知の訴え」を起こした場合には、内縁の夫が父であるという推定を覆すだけの反証をあげなければ、父子関係を否定することはできないとされています。
遺産相続・遺産分割協議で、誰が法定相続人かは重要な問題です。相続人が困ることのないように法律関係は明確にしておきましょう。
夫の子ではない子の出生届を出したら
夫が妻の子について出生届を出した場合には、夫の子ではなくても嫡出性を承認したことになるのでしょうか。
出生届を提出したからといって、それだけで嫡出子だと認めたことにはなりません。子が生まれた以上は、出生届は提出しなければならないのであって、嫡出子ではないという主張は出生届とは関係なくすることができます。
嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知ってから1年以内に提起しなければならないので、この問題で将来の相続(この子が父を相続する)に影響することは少ないと思われます。
しかし、1年内に嫡出否認の訴えを提起しないで死亡した場合、推定される子のために相続権を害せられる人と、夫の3親等内の血族も嫡出否認の訴えを提起することができます。
相続財産がほとんどないなどの事情があれば事実上問題は起きないでしょうが、嫡出否認の訴えが提起されるとなると大変な労力だと思います。
遺言による認知と遺産相続
死亡なさってから、その人(被相続人)の前婚の子と後婚の子が法定相続人であることはよくあります。
婚外子(婚姻外の子)を遺言で認知することもありますから、そうすると相続が開始してからはじめて相続人を知ることになります。
たとえば、今、甲さんが亡くなったとすると相続人になる人(たち)のことを推定相続人といって、周囲の人はだいたい誰が相続人か、また法定相続分の割合などを予想できます。
しかし、遺言で認知がなされると、その相続人のことを周囲が知らない可能性は高いです。普通に考えると、遺言による認知の場合、遺産相続についても記されていると思われます。
遺産分割協議で、相続人たちが困らないようにきちんとした遺言書を作成しましょう。
代襲相続とは何か
どなたかが亡くなると相続が開始します。しかし、被相続人(亡くなった人)の子が、その人と同時か、あるいは先に「死亡している場合など」があります。そのとき、その「亡くなった子の子」が相続することです。
例をあげますと、Aさんが亡くなったので、Aさんの子であるBさんが相続人となるはずでしたが、AさんよりもBさんの方が先に亡くなっていると、Bさんの子であるCさんが、Aさんを相続できます。Cさんも先に死亡していれば、Cさんの子であるDさんが相続というように、直系卑属であれば、どこまでもそのようにたどっていきます。ただし、相続放棄をした人の直系卑属には相続権は発生しません。(相続放棄した人がいると、その人の子に相続権が移らない、ということです。)
「死亡している場合など」とは、被相続人の子が相続の開始以前に、
- 死亡した
- 欠格事由に該当する
- 廃除されている
場合です。
実務上もよく起こることですのでご注意ください。
また、被相続人の兄弟姉妹が相続開始以前に上の理由で相続できないとき、「兄弟姉妹の子」は代襲相続できますが、「兄弟姉妹の子の子」に相続権は発生しません。
祖母と兄弟ではどちらが相続人か
Aさんが亡くなったとします。
Aさんには配偶者も子もいません。
兄弟はBさんとCさんがいます。
両親・父方の祖父母・母方の祖父も既に他界しており、祖母は老人施設に入院しています。
Aさんの遺産は誰が相続するのでしょうか。
遺言書があるかどうかまず確認が必要ですが、遺言書がないとしますと、「祖母」だけが相続人です。
また、上の例で父が存命だとすると、父だけが相続人です。
離婚した配偶者との子は相続するのか
AさんとBさんが婚姻中に、Cさんが誕生しました。
その後、AとBは離婚しました。
財産分与の額を大きくし、AはCの養育費を一切払わないことで合意しました。
CはBと暮らしています。(つまり、BがCを引き取りました。)
離婚後、Aは、一度もBとCに会うことなく死亡しました。BとCは、Aが死亡したことも知りません。
Aが死亡したとき、Cは法定相続人かどうかということですが、
「法定相続人」
です。
Aさんの相続に関して、Cは遺産分割協議に参加しなければなりません。ほとんど面識がないとか、交流がなかった人たちが集まって遺産分割協議という「お金の話」をすることになりますので、相続人たちは困惑してしまいます。遺産分割の仕方で困らないように、遺言書を作成しておくことをお勧めします。